私はすっと舌を引っ込めた。そして顔を離す。
少女は意外そうな瞳で私を見る。
「お休みのキスはもうおしまい。さぁ、寝ましょう」
「……おやすみのキス?」
「そう、お休みのキス」
私は少女の鼻にちゅっとキスをした。
「お休みなさい、ゆきちゃん」
「…………おやすみなさい」
少女は少し安心したように、体から力を抜いた。
私はライトを消し、目を閉じた。
そう、ダメだ。まだダメ。
泊めてもらう対価としてのセックスを少女はし過ぎている。
この家はそうじゃない。
少女が安心して……いつか、私を心から好きだと思ってから体の関係を持とう。
しかしそのような時が来るのだろうか?
その間に誰か他の人を好きになってしまうのではないか?
そういう不安は感じる。
でも。
少女が私を好きになるまで、抱いてはいけない。まだこの子は幼いのだから。
……でもお休みのキスぐらいは、毎日してもいいのではないだろうか。
大好きだよって、キスを通じて伝えてもいいのではないだろうか。
少女の胸に触れたい。腰に触れたい。足に触れたい。そこからゆっくりと性器に触れたい。
でも、まだダメ。
急いではいけない。ゆっくりと少女が成長して恋をするまで……誰かに恋をするまで、私は待とう。
私は待てるのだろうか?
そして私自身は……この身を焦がすような欲望ではなく、恋を知ることが出来るのだろうか。

■ 続く