「更新は三ヶ月前に途絶えてますね。ほら、九月二日が最終です。この辺りにお母さんが亡くなったのかな?」
私はショッキングな映像を見て、呆然としていたのだが、この係員の言葉ではっと意識を戻した。
少女は私に寄り掛かりながら言った。
「そう。9がつ……みっかにかぜでしんじゃった。すごくせきをしていたの。おちちのびょうきもきっとわるくなっていた。いっかいけんさにいったきり、おじさんはしんさつりょうがたかいから、ママをにどとびょういんへつれていってくれなかった」
「それは辛かったね」
「つ、つら……?」
「辛かった……悲しい時に使う言葉よ」
「つらかった……べつにつらくない……。ママはてんごくへいくんだっていってた。てんしになるんだよって……」
「そうね……さぞかし綺麗な天使になったことでしょうね」
係員の言葉を聞きながら、私は画面を見続けていた。この幼く見える27歳の女性が天使になる。ちゃんと天国へ行けただろうか。道に迷っていないだろうか。心配になる。
「プロフィールにお母さんの詳しい情報が載ってないかな」
係員がプロフィールを見ると、新宿歌舞伎町の住所が書かれていた。電話番号もある。
「ここ、ママがはたらいていたおみせなの」
「じゃあ、ちょっと行ってみましょうか。知り合いが見つかるかもしれない」
そう言う係員に私はドキッとしてしまった。
少女の知り合いを探したいという気持ちと、少女をこのまま手元に置いておきたいという気持ち。
私はどちらを優先したらいいのだろうか。
まだ気持ちが落ち着かないうちに、係員と共にサイトに記載されていた住所へと私達は向かった。
■続く